2021年4月、GIGAスクール構想が全国の小中学校で開始されました。国が財源を補助する形で「児童/生徒向けの1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」を同時進行で整備する計画のことです。今般の事情を踏まえて現在教育現場ではどのような状況か、さらに今後のICT活用への思いについて、関西学院千里国際中等部・高等部の米田謙三先生にお話を伺いました!
【プロフィール】米田 謙三 (よねだ けんぞう)先生
関西学院千里国際中等部・高等部
専門分野はICTを活用した効果的な教育と協働学習。英語・情報・地歴公民の教員免許を持ち、早くから教育の情報化や教科横断型に関する実践と研究をもとに授業を行い、各地で様々なセミナーや研修会(教育の情報化、英語4技能、情報モラル、探究・アクティブラーニング型授業など)の講師を務める。産学連携委員、文部科学省委託事業先導的教育情報化推進プログラム調査研究協力会議委員をはじめとする数々の委員を兼任。神戸大学卒業。
ーGIGAスクール構想について、ICTを活用した教育分野が専門の米田先生は現在の状況をどう見ていますか?
生徒や教員を取り巻く環境が大事だと感じています。
デバイスを一律に配布してもWi-Fi環境が整備されていないとスムーズな授業が出来なかったり、アプリやソフトの使い方をきちんと教え込む場やツールが無いとこれまで行っていた授業との併用が難しく、逆に教員の負担が増えることにもなってしまうからです。
また、現場の先生方の理解度も非常に重要です。ICT教育はこれまでの方針を否定するものではなく、教員の負担を減らしたり時間や場所などの制約に囚われず効率よく学びを提供したりする上で役立つツールであることを認識しないと、広く普及することは難しいのではないでしょうか。
ー上記課題を解決するためにどのようなことが必要だと考えますか?
どの場面でどういうデバイスを活用して何のソフトを使えば効率化出来るかを考えながら授業に取り入れることがすごく大事ですね。
例えば30人の生徒がいる場合、単語学習や定型文の発話練習等は端末を活用し、対人でのコミュニケーション能力を鍛える英会話学習などは教員やALTの先生が対峙するなど、全部を端末学習に切り替えるのではなく、適材適所で活用するといったことです。教員一人一人の活用能力が問われていると思います。
ー米田先生はCHIVOXをどのように見ていますか?
教育の現場において、先生の代わりにスピーキング能力の評価を行えるという点で非常に役立つと思います。
ライティングやリーディング、リスニングの教材・評価ソフトはある程度出てきているが、スピーキングは空白でした。
特に会話においては100%の正解はないしバリエーションが多いため、評価基準が難しい。会話としては成立するがSVOが成り立っていない、SVOは成り立っているが内容が伝わっていないということが往々にして起こり得ます。これまでのAIでは”正しい発音で発話できているか”の評価を行なっていましたが、これだけでは現場の課題を解決することはできませんでした。
ですがCHIVOXは解答が一つでは無い回答に対しても蓄積データを元にした適正な評価ができる、それも瞬時に。ストレスを感じることなく効率よくスピーキング評価ができる非常に便利なツールだと思います。
ー専門分野ICTとCHIVOXの関連性はどのように考えていますか?
先ほども述べましたが、GIGAスクール構想により全国に端末が支給されましたがまだまだ活用しきれていない現状です。
例えばCHIVOXを活用したソフトを使えば、授業の中でスピーキング問題を個人に合わせたレベルで学習&評価できたり、先生視点で言うと膨大な量のテスト採点(評価)の一部をCHIVOXに任せることができたり、授業内外における学習の幅が広がると思います。効率UPすることで先生の時間創出が可能となり、働く環境の改善にもつながると考えます。
ーCHIVOXなどのAIサービス学校現場で活用されるべきだと思いますか?
はい、積極的に活用していくべきだと思います。コロナの影響で学習のオンライン化が進んだこともあり、ますます授業形式を見直す必要があります。
その際気をつけたいことは、これらのツールを“活用、併用するという意識を持つ“こと。どちらか一方に頼りきるのではなく、AIに任せるところと人が担うところをうまく区別する、この考えを是非持っていただきたいです。
ー米田先生は、今後教育の現場がどのように変わっていくとお考えですか?またその中で弊社に期待されることはありますか?
アイードは都立高入試英語スピーキング対策教材の提供を発表されていましたが、非常にいい取り組み例だと思います。
教師による生徒一人一人への指導が難しいスピーキングの分野において正に必要とされるサービスですし、世の中にAIを活用した学習を浸透させる流れを生み出す。このような活用例をたくさん生み出すことが教育の未来を変えていくことになると思います。
ご多忙の中インタビューに答えていただき、誠にありがとうございました! 今後も教育現場のICT活用に貢献できる様、尽力いたします。